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演者 |
竹内 正義 金沢医科大学総合医学研究所 先端医療研究領域・糖化制御研究分野 (教授) |
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会場 | 東京都医学総合研究所 2階講堂 |
日時 | 平成30年2月13日(火)16:30~ |
世話人 | 岡戸 晴生 (神経細胞分化プロジェクトリーダー) |
参加自由 | 詳細は下記問合せ先まで |
お問い合わせ |
研究推進課 普及広報係 電話 03-5316-3109 |
WHOは2016年10月に、肥満や糖尿病を減らすため「糖分入り飲料への課税を進めるように」各国に呼び掛けを行った。近年、砂糖や果糖ブドウ糖液糖(high-fructose corn syrup, HFCS)を含む飲食品の習慣的な摂取が、肥満やメタボリックシンドロームを引き起こすのみならず、糖尿病等の発症・進展にも関与している事が報告されているが、未だその原因の解明には至っていない。
私達はこれまで、加齢や高血糖状態で促進的に生成される蛋白質終末糖化産物(advanced glycation end-products, AGEs)、中でもブドウ糖/果糖代謝中間体のglyceraldehydeに由来するGlycer-AGEs(toxic AGEs, TAGEと命名)が、糖尿病及び糖尿病血管合併症の発症・進展に強く関わっていることを明らかにしてきた。近年では、TAGEの生成・蓄積が心血管疾患、非アルコール性脂肪肝炎(NASH)、アルツハイマー病、癌、不妊症等の多様な疾患にも関与することが示されており、TAGEの影響を抑えることが生活習慣病の発症・進展の予防及び治療戦略上、必要なことが分かってきた。
このTAGEが体内で生成・蓄積してくると様々な生活習慣病を発症・進展することが明らかになってきているが、TAGEの生成・蓄積は私達の日々の食生活に密接に関連していることが分かってきた。すなわち、私達が毎日食べているご飯やパン、麺類等に含まれるデンプンの他、飲料や加工食品等に多く含まれている砂糖やHFCS等の糖類の過剰摂取、飲食品の加熱調理加工の過程で産生される食事性AGEs(主にブドウ糖由来AGEs, Glu-AGEs)の摂取過多によって、体内でTAGEが生成・蓄積されることが明らかになってきている。このような現代の食習慣の特徴が、体内でのTAGEの生成・蓄積を促進し、生活習慣病の発症・進展に強く関与することから、TAGEの生成・蓄積を防ぐことは生活習慣病予防対策の新たな概念を提示するものと思われる。
最近、私達は血中TAGE量の増加が糖尿病/非糖尿病問わず、現代の生活習慣の特徴である過食、運動不足、糖類の過剰摂取、食事性AGEsの摂取過多が引き金となって生じる生活習慣病の発症・進展の危険因子であることを明らかにした。また、血中TAGEレベルの変動が、不妊や未病も含めた生活習慣病の発症・進展の予防/早期診断/治療の有効性を評価する有用なバイオマーカーとしての可能性を秘めていることが明らかになってきており、本セミナーではこれらに関する最近の知見を紹介させて頂きます。