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平成29年度
医学研セミナー

哺乳類型大脳皮質構造の進化をもたらした発生機構

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演者 野村 真
京都府立医科大学 大学院・神経発生生物学 准教授
会場 東京都医学総合研究所 2階 講堂
日時 平成29年8月29日(火)15:00~
世話人 丸山千秋 (神経回路形成プロジェクト 副参事研究員)
参加自由 詳細は下記問合せ先まで
お問い合わせ 研究推進課 普及広報係
電話 03-5316-3109

講演要旨

大脳皮質は現存するすべての哺乳類において普遍的に存在する脳領域である。哺乳類大脳皮質は胎生期の細胞分裂によってその表面積を拡大し、かつ多種類の神経細胞から構成される層構造を形成する。こうした特徴的な脳構造が進化の過程でどのようにして獲得されたのかは、未だ大きな謎に包まれている。哺乳類は爬虫類/鳥類の系統を含む羊膜類と呼ばれる動物群の一系統であり、すべての羊膜類は共通祖先から分岐したと予測されている。そこで我々は現存する羊膜類の大脳皮質相同領域の発生過程を比較し、羊膜類に共通した発生プログラム、および哺乳類に特異的な発生プログラムの同定を行っている。 今回は特に、

  1. ) 大脳皮質の神経幹・前駆細胞の増殖と分化に関わる転写因子Pax6の機能の保存性と多様性
  2. ) 大脳皮質層構造の形成に必要な転写因子Ctip2とSatb2の発現制御機構の種特異性

さらに、

  1. ) 大脳皮質の構築過程における神経細胞移動を制御するWnt シグナルの役割についての最近の知見

を報告する。こうした解析結果から、羊膜類の共通祖先で獲得されていたと推測される脳の発生機構、さらに哺乳類の大脳皮質構造の獲得に寄与したと考えられる細胞増殖・分化・移動機構について議論したい。

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