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演者 |
青村 茂 首都大学東京大学院・システムデザイン研究科、知能機械システム学域(教授) |
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会場 | 東京都医学総合研究所 2階講堂 |
日時 | 平成30年3月15日(木)16:00~ |
世話人 | 三五 一憲 (糖尿病性神経障害プロジェクトリーダー) |
参加自由 | 詳細は下記問合せ先まで |
お問い合わせ |
研究推進課 普及広報係 電話 03-5316-3109 |
打撲や殴打による頭部への強い衝撃で発症する外傷性脳損傷(TBI)における脳神経損傷は、後の高次脳機能障害の主因となる深刻な病態であるが、CTやMRIの画像には現れない。さらにTBIでは多くの場合、事故の経緯や頭部への衝撃の過程が不明であるため、初期の診断において脳神経損傷は見過ごされることが多く、その後に発症する脳の障害の予測ができない。適切かつ迅速な医療対応のために、事故の忠実な再現による頭部への衝撃、さらに詳細な解析による様々な脳損傷の発症リスクを求める手法の確立が強く求められている。
本講演では、多数の外傷性脳損傷の症例解析を行って衝撃により脳の各要素が受けた力学パラメータを求め、それらに神経細胞の衝撃試験により得られた神経細胞の衝撃耐性データを適用して、すべての事故に対して脳全体の神経損傷度合いを得る。得られた結果を医師、理学療法士を含む医工連携チームで高次脳機能障害を発症した事例としなかった事例との間で詳細に比較・検証を行って、事故時の脳神経損傷の程度による発症の危険率を決定する。さらに発症に至った神経損傷部位と程度を可視化し、高次脳機能障害の早期の発症予測の支援を行うまでの試みについて、計算力学と細胞工学の視点から紹介します。