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演者 |
渡辺 雅彦 北海道大学大学院医学研究院 解剖学分野 解剖発生学教室 (教授) |
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会場 | 東京都医学総合研究所 2BC会議室 |
日時 | 平成30年2月16日(金)16:00~ |
世話人 | 齊藤 実 (学習記憶プロジェクトリーダー) |
参加自由 | 詳細は下記問合せ先まで |
お問い合わせ |
研究推進課 普及広報係 電話 03-5316-3109 |
状況に応じて複雑な情報処理や行動制御を行う脳では、グルタミン酸やGABAによる速い情報伝達に加え、神経調節物質による伝達調節も行われています。中脳から線条体へのドパミン投射は、認知や随意運動の制御、報酬に伴う快情動の生成や行動の動機づけなどに関わっています。我々は、この神経投射が線条体に形成するドパミンシナプスについて分子解剖学的に検討したところ、1)ドパミンシナプスはドパミン放出性のシナプス前部とGABA感受性のシナプス後部の間の異種結合であり、2)ドパミンシナプスの主な標的細胞はドパミン受容体を発現する中型有棘ニューロンであり、3)この異種結合を抑制性シナプス接着分子のニューロリギン2が制御していることを見出しました。この所見は、ドパミンシナプスが「情報伝達の接点」という従来のシナプス概念ではなく、むしろ標的ニューロンにドパミン放出性線維を導く「係留性の接着」という新たな様式で、ドパミンによる機能調節の効率や特異性を制御していると考えられます。