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演者 |
井上 聡 東京都健康長寿医療センター研究所老化制御研究チーム (研究部長) |
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会場 | 東京都医学総合研究所 2階講堂 |
日時 | 平成30年2月15日(木)16:00~ |
世話人 | 橋本 款 (パーキンソン病研究室 室長) |
参加自由 | 詳細は下記問合せ先まで |
お問い合わせ |
研究推進課 普及広報係 電話 03-5316-3109 |
エネルギー代謝は生命維持のために必須であり、糖・脂質代謝において生成されるATPは生命活動に大きく寄与している。これに関連して、ATP産生のために中心的な役割を担うミトコンドリア呼吸鎖の複合体が相互作用して超複合体形成をするという仮説が提唱されてきたが、その実態やそれに関わる因子はこれまで謎であった。我々は、この問題を明らかにするため、エストロゲン応答遺伝子としてCOX7RP (cytochrome c oxidase subunit 7-related protein)遺伝子を単離・解析した結果、それがミトコンドリア呼吸鎖複超複合体形成因子であることを世界に先駆けて解明した。引き続き、COX7RP遺伝子欠損(KO)マウスならびにトランスジェニック(Tg)マウスの解析により、COX7RPは生体内で筋肉における運動持続能ならびに褐色脂肪での熱産生に重要な働きを担うことを明らかにした。これらの結果は、超複合体形成が促進されるTgマウスはマラソンランナー型となり、その逆のKOマウスは虚弱型になったと示唆される。本講演では、これらの経過を紹介するとともに、さらに、個体レベルでの代謝に関する最近の知見を加えて、ミトコンドリアの超複合体形成に関わるエストロゲン応答遺伝子COX7RPの作用メカニズムと、生体と病態における役割について討議したい。
参考文献