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平成29年度
医学研セミナー

生命の連続性に迫る生殖細胞のエピゲノム形成機構

− この都医学研セミナーは終了しました。 −

演者 前澤 創
シンシナティ小児病院医療センター生殖科学部門 (上級研究員)
会場 東京都医学総合研究所 2階 講堂
日時 平成29年12月14日(木)14:30〜15:30
世話人 正井 久雄 (副所長 ゲノム動態プロジェクトリーダー)
参加自由 詳細は下記問合せ先まで
お問い合わせ 研究推進課 普及広報係
電話 03-5316-3109

講演要旨

生殖細胞は、精子及び卵子に分化し、受精によって新しい世代に遺伝情報を伝える細胞です。一世代限りの分化を遂げる体細胞とは異なり、生殖細胞では受精後に全能性・多様性を再獲得することで生命の連続性を担います。その特別な機能を発揮するために、生殖細胞には精子及び卵子への分化制御に限らず、次世代の発生に必要な遺伝情報を再び活性化する特殊なエピゲノム形成機構が存在します。しかし、生殖細胞系列に特異的なクロマチン制御とエピゲノム形成の分子メカニズムは明らかにされていません。

私達は、マウスをモデル動物として、精子形成期における遺伝子発現制御を網羅的に解析し、生殖細胞に特異的なエピゲノムの解明に取り組んできました。これまでに、精子形成期特異的なオープンクロマチンやスーパーエンハンサーを同定しました。また、精子形成期における遺伝子発現制御にポリコーム抑制複合体が必須であることを明らかにしました。本セミナーでは、マウス精子形成期の分化に伴うクロマチン構造変化とエピジェネティクな変化、そして遺伝子発現制御との関連についてお話しします。特にポリコーム抑制複合体の精子形成期の機能について、未発表のデータも交えて最新の知見を紹介します。

Molecular Basis of Germline Identity

参考文献

  1. Hasegawa K, Sin HS, Maezawa S, Broering TJ, Kartashov AV, Alavattam KG, Ichijima Y, Zhang F, Bacon WC, Greis KD, Andreassen PR, Barski A, Namekawa SH. SCML2 establishes the male germline epigenome through regulation of histone H2A ubiquitination. Dev. Cell 2015 ; 32 : 574-88.
  2. Maezawa S, Hasegawa K, Yukawa M, Andreassen PR, Vidal M, Koseki H, Barski A, and Namekawa SH. Polycomb directs timely activation of germline genes in spermatogenesis. Genes Dev. 2017 [Epub ahead of print].
  3. Maezawa S, Yukawa M, Alavattam KG, Barski A, Namekawa SH. Dynamic reorganization of open chromatin underlies diverse transcriptomes during spermatogenesis. Nucleic Acids Res. 2017 [Epub ahead of print].
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