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平成29年度
医学研セミナー

1細胞遺伝子発現解析による生物学と疾病の新たな理解

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演者 橋本 真一
金沢大学 大学院医薬保健総合研究科 未病長寿医学講座(特任教授)
会場 東京都医学総合研究所 2階 講堂
日時 平成29年11月7日(火)15:00~
世話人 小原 道法 (東京都医学総合研究所 シニア研究員)
参加自由 詳細は下記問合せ先まで
お問い合わせ 研究推進課 普及広報係
電話 03-5316-3109

講演要旨

細胞分化の階層性や組織での細胞の不均一性の研究は、その多くが病理学的手法や細胞ソートなどにより細胞を単離、解析する手法によって進められてきた。しかしながら、細胞のマーカーが明らかとなっていないものに対しては解析が困難である。そこで最近、細胞集団の詳細を明らかにするため、多くの1細胞解析法が開発されてきた。個々の細胞の遺伝子変化を把握することは、複雑な組織と機能的応答について理解するために重要な方法であるが、今までの1細胞解析は細胞からライブラリーを調製する時間とコストによって制限されてきた。最近いくつかの研究室から、これらの問題点を克服し1細胞の集合体を一度に数千から数万細胞のスケールで解析し、多くの知見を得る方法が発表された。我々もまた、1細胞を数千〜数万同時に解析する方法(Nx1-seq)を開発し、ヒトがん組織を対象に解析を行った。Nx1-seq法は、マイクロウェル中にて1細胞由来のmRNAを1種類のバーコード付加オリゴdT結合ビーズ上でトラップし、それを逆転写、増幅後シークエンスする技術である。今回、この方法を用いて、ヒト子宮体がん組織における細胞分布の多様性を紹介する。包括的な1細胞遺伝子発現解析は、複雑な生物系における細胞の多様性への理解を劇的に変化させ、循環腫瘍細胞分析、免疫障害および感染症、免疫療法および予防接種、治療開発のモニタリングの診断など、新たな臨床応用に役立つと考えられ、セミナーではその利用法について議論したい。

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