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演者 |
青西 亨 東京工業大学 大学院総合理工学研究科 知能システム科学専攻 複雑システム解析講座(准教授) |
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会場 | 東京都医学総合研究所 2BC会議室 |
日時 | 平成30年3月19日(月)16:00~ |
世話人 | 齊藤 実(学習記憶プロジェクトリーダー) |
参加自由 | 詳細は下記問合せ先まで |
お問い合わせ |
研究推進課 普及広報係 電話 03-5316-3109 |
我々は、細胞間隙でのドーパミン(DA)拡散過程とD1とD2受容体ファミリーのシグナル相互作用のシミュレーションを行い、システム科学の観点から選択的多様性表出機構の機序を明らかにしようとしている。これらの数理モデルを共同で構築するにあたり、相互の知識共有のため、以下の我々が行った神経伝達物質の細胞間隙拡散のシミュレーション研究を紹介する。
グリア細胞は、シナプス間隙やその外側に広がる細胞間隙のグルタミン酸濃度をコントロールするのに重要な役割を果たしている。グリア細胞に存在するグルタミン酸トランスポーターがグルタミン酸の再取り込みを行い、シナプス間隙や細胞間隙のグルタミン酸を除去する。また、再取り込みにより内向きのトランスポーター電流が流れ、膜電位の脱分極が誘発される。膜電位がトランスポーターの逆転電位を超えて脱分極する場合、グルタミン酸が細胞外に放出される。このように、グリア細胞はシナプス間隙や細胞間隙のグルタミン酸濃度をコントロールしている可能性がある。このような伝達物質の細胞外濃度のコントロールにより、大域的な神経回路網の活動をコントロールしているのではないかと言われている。しかし、神経細胞と比べて、電気的性質など不明な部分が多い。ましてや、数理モデルによる記述は、ほとんど行われていないのが現状である。我々は東京薬科大学生命科学部宮川研究室と共同で、以下のような数理モデルを構築した。本研究では、シナプスから放出されたグルタミン酸の細胞間隙拡散、グルタミン酸トランスポーターによる取り込み、トランスポーター電流による脱分極、という一連の過程をモデル化し、シミュレーションによりSIGD(Synaptically induced glial depolarization)を再現した。