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平成29年度
医学研セミナー

CRISPR/Cas9を用いたウイルス感染制御に関する研究

− この都医学研セミナーは終了しました。 −

演者 片山 和彦
北里大学北里生命科学研究所/大学院感染制御科学府ウイルス感染制御学 研究室 Ⅰ 教授
会場 東京都医学総合研究所 2階 講堂
日時 平成29年8月25日(月)16:00~17:00
世話人 小池 智 (ゲノム医科学研究分野 ウイルス感染プロジェクトリーダー)
参加自由 詳細は下記問合せ先まで
お問い合わせ 研究推進課 普及広報係
電話 03-5316-3109

講演要旨

Clustered Regularly Interspaced Short Palindromic Repeats; CRISPRと呼ばれる反復クラスターは、バクテリアがウイルス感染から身を守るために発達させた獲得免疫系の一つです。近年、このシステムは改良され、Cas9とガイドRNA(gRNA), ゲノム上に存在するgRNA認識配列を利用した標的遺伝子改変システムとして利用されています。

我々は、CRISPR/Cas9システムによるゲノムワイド遺伝子ノックアウトを使用して、Murine Norovirusのレセプター分子を同定することに成功しました。Murine Norovirusは、感受性細胞RAW264.7細胞に感染すると、細胞に激しいCPEを誘導して増殖することが知られています。そこで、先にRAW264.7細胞の遺伝子をCRISPR/Cas9システムでランダムにノックアウトしておき、そこにMurine Norovirusを高いMOIで感染させたところ、感染増殖に必須な因子を失った細胞のみが生き残ったのです。生き残った細胞に含まれているgRNAの配列を網羅的に解析し、CD300lf, CD300ldというペアードレセプターが最も主流に検出される配列であることを突き止めました。これらの配列こそが、Murine Norovirusのレセプター分子だったのです。

本セミナーでは、この事例を中心にウイルス学におけるCRISPR/Cas9の利用についてディスカッションしてみたいと思います。

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