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平成29年度
医学研セミナー

低分子量G蛋白質Arf6の多彩な生理学的・病理学的機能
〜Arf6のがんへの関与と抗がん剤開発に向けて〜

− この都医学研セミナーは終了しました。 −

演者 金保 安則
筑波大学・医学医療系 生理化学研究室(副学長・理事)
会場 東京都医学総合研究所 2階講堂
日時 平成30年3月12日(月)16:00~
世話人 吉川 欣亮 (哺乳類遺伝プロジェクトリーダー)・鈴木輝彦(幹細胞プロジェクト)
参加自由 詳細は下記問合せ先まで
お問い合わせ 研究推進課 普及広報係
電話 03-5316-3109

講演要旨

低分子量G蛋白質のArf6は、シグナル伝達系において分子スイッチとして機能して細胞膜ダイナミクスに関連した細胞機能を制御している。我々は、1999年にArf6がリン脂質キナーゼのPIP5Kの活性をして細胞膜ダイナミクスを制御するという非常に興味深い発見をして以来、Arf6の個体レベルでの機能についての解析を進めており、これまでに幾つかのArf6の生理学的および病理学的機能を明らかにしている。これまでの結果から、Arf6はマウスの様々な臓器、組織に普遍的に発現しており、それらの発生において重要な役割を果たしていることが明らかとなった。すなわち、肝臓の発生、中枢神経系のミエリン化、リンパ管新生などにArf6は必須な因子であることを見出した。また、成体マウスにおいては、皮膚の創傷の際にArf6の発現が誘導され、発現したArf6が創傷治癒に重要であることも見出した。

一方、Arf6は病理学的にも重要な分子であり、特に、腫瘍増殖や浸潤・転移に関与していることが明らかとなった。すなわち、血管内皮細胞に発現しているArf6は腫瘍血管新生を正に制御して腫瘍増殖を促進し、がん細胞に発現しているArf6はがん細胞の浸潤に重要な役割を果たして転移に寄与していることを見出した。これらの知見から、現在は、Arf6をターゲットとした創薬開発について研究を進めている。

本セミナーでは、これらの知見を紹介し、Arf6の重要性について議論したい。

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